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組合員と組合役員の学びなおし

※過去のコラムの転載です。

「キャリア自律」を目的とした学びなおしが必要である、という前提でお話しを進めます。労働組合はどのように「キャリア自律」を意味付け、「学びなおし」を進めていけばよいのでしょうか。

キャリア自律の一般的定義は、「働く個人が自らのワーク&ライフキャリアについて主体的に考え、自ら責任を持ち、学習や育成、目標設定と管理に取り組んでいる状態」。まさに、労働組合が目指す「働くことを通じた組合員の幸せの実感」に直結する言葉です。

一方で、現実の働く現場では、コロナ前から続く「働き方改革」「イノベーション」。
コロナ禍中から浮上してきた「ジョブ型雇用」。どうやら、これからは、今までの働き方や働きがいのあり方は通用しない......「働くことを通じた幸せの実感」は怪しくなっています。先進的な取り組みをしている企業以外の組合員は様子見を決め込んでいます。

「目の前の成果でしょ!」が組合員の本音といったところでしょうか?

労働組合は、経営マネジメントや人事戦略に精通していることから、先んじて課題認識をもっているものの、労働組合の組織力低下が叫ばれる昨今、既存の組合活動実践にまい進しながら、コロナ禍で求められるようになったデジタル化、オンライン対応に追われています。

「今、困っている人を救うことが先決でしょ!」が組合の本音かもしれません。

誰が、どのように「働くことを通じた組合員の幸せの実感」を支援するのか? 紛れもなくそれは、労働組合です。
「キャリア自律」という言葉を取り違え、組合員の孤立や孤独を招き、組合員の居場所を失い、自律性や相互性を失ってはいけません。労働組合の存在、また組合活動そのものが、組合員にとって安心して挑戦できる機会の創出につながるべきだと強く思います。

楽観的なストーリーで表現すると、まずは、組合員の「学びなおし」行動を促進する組合活動を展開し、「キャリア自律」している状態をつくることで、「働くことを通じた組合員の幸せの実感」という心理的資本を創造していく。

では、組合員の「学びなおし」行動の促進を設計する上でのポイントは何か?

・学ぶ=アウトプットのためのインプットであること
・誰と、どのような場で学ぶかを設計する(組合は組合員にとって「学びの第三の場」)
・学びのセンスを鍛える(学びのセンスがある人は、自身の資質を理解している)
・「課長の学びなおし」をテーマにしてみる(ターゲットを決めて取組む、係長でも良い)
・心理的居場所感を高める取組みに特化する(自身の本来感、役割感、安心感の醸成)

などをポイントに組合活動の再設計をお勧めします。

先日、ある組織開発系コンサルタントが、「課長の学びなおし」をテーマにした研修でのエピソードを紹介します。「キャリア自律」について課長が座学を受講し、実践編で若手部下にキャリア面談を実施します。そこで、ある若手社員が課長に対して「ところで課長のキャリアビジョンは何ですか?」課長はグッとその言葉を飲み込むしかなかった、、、、という。日々、目の前の成果を求められる課長という立場、これではキャリア自律は程遠いという現実です。

私は、人事の取り組みを否定しませんが、やはり「見える化、短期利益を追求せざるを得ない関係性の基ではキャリア自律という状態は生まれにくい」と感じます。労働組合が組合員とその関係者にとって「第三の場所」となり、安心の場で自身の関心事について対話することで「ありたい姿」を見出していく。そんな起点に労働組合がなることがむしろ現実的なんだろうと信じています。

VUCAという言葉が示す「先行きが不透明で、将来の予測が困難な時代」を言い訳にせず、ビジョンを描いたり、目線のレイヤーを上げて物事を捉え、自身の人生における中長期的な戦略を練ることこそ、組合が優先度を上げて取り組むべきではないでしょうか。

これらの学びなおし行動を通じたキャリア自律の状態を目指す取り組みは、組合員に限らず多くの組合役員にも共通して言えることです。慣例の捕らわれず、先々を見据えて新たな組合活動を創造していく際に、誰と学ぶか? どんな場で学ぶか?何を基準に対話をするか?