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自分のキャリア・アンカーってなんだろう?

※過去のコラムの転載です。

キャリア自律を考えていくひとつにキャリア・アンカーがあります。
これは、アメリカの組織心理学者、エドガー・ヘンリー・シャイン博士が提唱したキャリア理論で、キャリア・アンカーを直訳すると【キャリア=人生、アンカー=船の錨(いかり)】を意味します。
キャリアは自分なりの軌跡を描きつつ人生航路を進んでいくことにたとえられますが、まさにこの人生航路において「ここが自分の居場所」と思えるような錨の降ろしどころ、自分の価値観の拠り処を示すのがキャリア・アンカーなのです。

◆キャリアアンカーを確かめるための【3つの問い】

自分の仕事生活におけるキャリア・アンカーを確かめるために次の3つの問いが有効であるとシャイン博士は述べています。

① 何をしたいのか(will)

  • 自分はどういう風に仕事をしたいか

  • どのような人物になりたいのか

  • どのような人生を送りたいのか(例えば子どもを産んでも働き続けたいとか)

② 何が得意か (can)

  • 自分の強み、弱みを何か

  • 自分にできることは何か

  • どのようなスキルがあるのか(例えば資格やスキルだけでなく明るい人柄や誰とでも話せるコミュニケーション能力も強みです)

③ 何をやってるときが充実しているか(must)

  • 周囲から期待されていると想定されること(willとcanが自分を主軸に考えているのに対し、mustは「周囲から求められていることやすべきことは何か」を表しています)

この3つの問いを自問自答してみたり、キャリアコンサルタントに語ることでキャリアの一定のパターンが見出されることがあります。自身では気づいていなかった一貫性のないキャリアを歩んでいるようでも、実はパターンがあることに気づかされ今後のキャリア構築の軸となります。
シャイン博士は、誰しも必ずキャリア・アンカーを持つと主張しています。

◆キャリアに対する考え方は、常に変化するもの

例えば、新入社員で入社した時はキャリアアップを目指したいという思いでバリバリ働いていたが、結婚したいと思う人ができ、やがて子どもが生まれ家族ができたことをきっかけに家族とのかけがえのない時間が大切で両立しながら働きたいなど、そのときの状況や環境、自身の気づきでキャリアへの思いは変化していきます。

また、社会情勢の変化を受けて個人の仕事観も多様化している昨今。
「高収入・好待遇の職場がよい」と思う人もいれば、「高収入でなくてもプライベートを確保したい」「やりたいことに没頭できる仕事がよい」と思う人も決して少なくありません。

このようにキャリアに対する考え方も生きていく中で変わっていきますが、誰にでも自分自身のキャリアを考える上で、譲れない価値観やポイントがあるはずです。
軸(要となる価値観)としてあり続けるのがキャリア・アンカーなのです。
軸が定まることによって前向きになり、個人にとっても組織にとっても良い影響が起こります。

◆キャリア・アンカー 8つの分類・タイプ

キャリア・アンカーには、8つの分類・タイプがあります。
必ずしもこれに当てはめる必要はなく、ご自身に近いタイプのキャリア・アンカーはこれかな?程度で見ていただければと思います。

  1. 専門・職種別タイプ (専門性の追求を目指す)

  2. 全般管理タイプ (組織の中で責任ある役割を担う)

  3. 自律と独立タイプ (自律的に仕事を進めている認識)

  4. 保障、安定 (生活の保障や安定を第一とする)

  5. 起業家的創造性 (クリエイティブに新しいことを生み出すこと)

  6. 奉仕・社会献身 (社会を良くしたり他人に奉仕したりすること)

  7. 純粋な挑戦(解決困難な問題にチャレンジすること)

  8. 生活様式(ワークライフバランスを大切にする)

また、キャリア・アンカーの質問表から診断する方法(40の質問に答えると自分の仕事に対する価値観が測れるツール)や自己棚卸しシートを記入しながら自己理解を深めることができます。
自分のキャリアで重要視していることや求めている働き方などを分析することで、自分に合った職場や部署、働き方に気づきを得たりすることができます。

一度、自分のキャリア・アンカーって何なのかな? と振り返ってみると今の仕事に自身が持てたり、価値を見出せるかもしれませんね。
自己理解の棚卸しをキャリアコンサルタントと一緒にしてみませんか(^^)