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各キャリア期の特徴について

※過去のコラムの転載です。

働き始めてリタイアする期間は、当然ながら個人によって異なりますが、おおむね40~45年とみていいでしょう。そんな長期間に跨るわけですから、キャリアの状況は当然異なります。
今回は、年齢別にキャリア期を定義し、各キャリア期の特徴を説明したいと思います。

◆キャリア模索期《18~29歳》

この時期は、年齢からも分かるように社歴や社会人経験が浅く、自己のキャリアを模索している時期です。その模索がうまくいかない場合は、それが離転職をおこすきっかけにもなっています。
この期間の特徴は以下の3点です。

  1. 外的キャリアを問う設問の結果では管理職・役員になりたい傾向は他の年代よりも強いが、あまり考えていない人も多い傾向もある。

  2. 今の仕事はこれでいいのだろうか?このままここで働き続けていいのだろうか?というキャリア焦燥感を覚えやすい。また、現行の仕事とのアンマッチ(という思い込み)によって転職活動を行う。特に25~29歳は、勤続意向や会社への愛着が低い傾向にある。

  3. キャリアを確定させなくとも、キャリアのあり方を意識させることが当年代の組織定着に重要

◆キャリア発展期《 30~44歳》

この時期は自己のキャリアが定まりつつあり、仕事を通じて自分の考えややりたいことを発揮し、成長する時期です。
この期間の特徴は以下の3点です。

  1. キャリア模索期を経て自らのキャリアが明確になり、主体的にキャリアを形成する時期

  2. また、組織や仕事に適応しすることで仕事への自信がつき、責任感も強くなりやすい

  3. 40歳になると、さらに①②の状況が強まるか、気持ちが萎えるかの2方向に分かれやすい

◆キャリア再模索期《45~54歳》

この時期は、指導的立場を得る一方で、第一線から退きつつある時期でもあります。と同時に、 60歳以降の定年延長・雇用延長などを見据えて、キャリアを改めて模索する時期でもあります。
この期間の特徴は以下の5点です。

  1. 労働者の4分の1近くを占めるボリュームゾーンである

  2. 組織的要因や個人の思い込みなどによるキャリアプラトー※が起きやすくなる

  3. 管理職になれない人に関しては、年下上司のマネジメントに対するやりにくさや不満を感じる

  4. 人事評価に対する不満が強まる

  5. 会社へのぶら下がり意識が強くなりやすい(特に50歳以上)

※キャリアプラトー:昇進・昇格の可能性に行き詰まり、あるいは行き詰まったと本人が感じて、モチベーションの低下や能力開発機会の喪失に陥ること

◆キャリア再発展期《55歳~》

この時期はキャリア再模索期に見据えたキャリアを発展させていく時期です。
キャリア再模索期と重なるものがありますが、この時期の特徴は以下の5点です。

  1. ポストオフ(役職を外れること)後はモチベーションを保ちにくい

  2. 定年が近く、会社へのぶら下がり意識が強い

  3. 年下上司のマネジメントに対するやりにくさや不満を感じる

  4. 人事制度に対する不満が強い

  5. 再雇用者は仕事への満足度が高いが、給与には不満傾向

以上4パターンについて説明しましたが、各期の状況の違いをお分かりいただけたでしょうか。先のことを完全に決めておく必要はありませんが、何となくのイメージを持っておくことは必要でしょう。

さて、40歳から69歳までのキャリア再模索期と再発展期の労働者は労働者全体の59.8%を占めています※。労働者の約6割を占めるこの年代のモチベーションをどのように高めていくかは今後の労働界の大きな課題です。
※2017年 総務省統計局 就業構造基本調査より