キャリア自律と終身知創
※過去のコラムの転載です。
先日、ご縁があって参加した出版記念パネルディスカッションの感想を共有します。
本のタイトルは「終身知創の時代」
副題「終身雇用から終身知創へ ~常に学び続ける新しい生き方~」
(多摩大学出版会)著者;名久井康宏氏/上野正之氏
両著者は、それぞれの会社に勤務しながら自社の人材育成・組織開発に携わり、その成果を書籍にまとめ出版されました。
最近あまり使われない「終身雇用」という言葉に対して「終身知創」と表現し、常に学び続けることが新たな生き方において重要であると説きます。
この「終身知創」には、雇用される立場で働きつづけるのではなく、知恵を創造しつづける能動的な立場で生きていく、との意味や思いが込められています。
知恵は、自らが主体的に人生場面で生み出していくもの、という点に共感を覚えました。キャリア自律を語る時、それは仕事中心の議論になりがちです。しかし、生活においても、知恵を創造していくシーンは日常的にあります。
家電製品やOA機器などの機能を使いこなすことで、その人特有の知恵が生まれることがあります。このように、仕事シーンにおいても、人事制度や就業規則、組織ルールなど、本人が目的を理解した上で、運用するプロセスで知恵が生まれます。
私たち労働組合がキャリア自律を語る時、仕事に密接に関係する生活にも枠を広げ、「ライフキャリア自律」と捉え直し、知恵を生み出し続ける新たな生き方であると組合員に提案することも一つのあり方ではないでしょうか。
最後に、キャリア自律を推進する上で、興味深いエッセンスをご紹介します。
ミドルはキャリアを一人で考えてはいけない
➔ 誰かと繋がることが大事、外に出て化学反応を起こすイシューセリング(この問題を誰と解決したいのか?
➔ 個人の問題であり仲間と成し得るという側面もあるキャリアについて多様なフィードバックを受ける
➔ 同一性のある方からのフィードバックは意味が薄い
「仲間と共にそれぞれが、より良い幸せな人生を創造していくこと」これは、労働組合の根幹であると改めて実感しました。