見出し画像

多様だからこそ、共生しあい、「生きて」くる~東京・八王子の森に学んだ「多様性」と「つながり」の意味~


「生きている森」と「死んでいる森」

こんなキーワードに惹かれて、「植えない林業」を手掛ける「森と踊る株式会社(moritoodoru.co.jp)」さんのワークショップに参加してきました。

弊社のコミュニティ「ReUnion Cafe(ReUnion cafe - j.union株式会社 (j-union.net)」のイベントとして、すばらしく晴れた10月のとある週末、ユニオンリーダーや弊社社員数名で森に向かったのです。高尾駅からバスに乗り目的地に着くと、東京とは思えない本当に自然豊かな風景が広がります。一行は、すがすがしい気持ちで歩き出しました。

見事な秋晴れの高尾駅。ここからバスで向かいます

私たちが見ているのは「自然」ではなく「不自然」だった?

「この景色を見て、自然ていいねぇ、って皆さん言いますが、あの森を見てください。あれは自然じゃない。不自然なんです」「自然が好きだという皆さんの価値観が、申し訳ないけど帰るころには、変わっちゃうかもしれない」
代表の「ずーやん」こと三木 一弥さんが放った言葉に脅かされながら(笑)森に入って行きました。

どこが「自然」でどこが「不自然」かわかりますか?

多様な種がつながりあい共生してできるのが「自然」

実際の植物を見ながら、「森ができていく過程」の説明が始まります。
何もない土地にまず生えてくる草。そこにだんだんと木が生い茂ってくると、生えている植物の種類は変化していく。
草や木は、持っている性質により、森が成長する過程で、それぞれの役割を終えると入れ替わっていくのです。

高さの異なるいろいろな木や草が生えている

足元にも草が生い茂り、一見「手入れされていない」ように見えるエリアにはたくさんの種類の植物が生えています。
苔や草や木はそれぞれ持っている機能や役割があって、森を形成しており、目に見えない土中には菌や微生物がいて、お互いに水分や栄養をやり取りしているとのこと。
草や木の根の先には菌がいて、植物が光合成で作った糖をもらう代わりに、長く伸ばした菌糸によって土中の窒素やリンなどの必要な栄養を植物に届けているそうです。初めて聞く「菌根菌(きんこんきん)」の話には、みんな「へぇ~」の連続でした。
手つかずの自然の中で、人間が手を加えなくても植物が生い茂っているのは、こうした「共生」があってのこと。たくさんの種がつながりあい助けあうことで、豊かな自然が維持されるのです。
事実、森の中ではいろんな虫に出会い、今まで見たこともないくらい太くて長くて豊かな(!)ミミズにもたびたび遭遇して悲鳴が上がりました(笑)。

可愛いカマキリ

自然のサイクルを無視して人の手を加えるとどうなるか

空に向かってまっすぐ伸びる杉の木。
かつて、林業によって人の手で等間隔に植えられたまま、伐採されずに放置されています。その根元は草が生えておらず、粘土質のような土が剝きだしでした。
そんなエリアは、大雨によって土砂が流れたり木が倒れた形跡があります。
本来、降った雨は流れていく途中で植物がそこかしこでせき止めたり、土中に吸収されたりして、分散されます。ところが、人工的に植林され、自然な姿を失った土地にはその力がありません。結果として、山肌を削る土石流になったり、一気に川に流れ込んで河川の氾濫を引き起こすのです。
昨今の豪雨災害は雨量の問題だけでない、わたしたち人間の問題なのでは?と、問われているように思えました。

多様性を生かし、つながりあい循環しあう環境づくり

「森の再生」とは木を植えることではない。
草や木や菌や微生物、さらに目には見えない土中の水脈や空気の通り道などまで思いを馳せ、自然が自然に循環しあう環境を作ること。
そのために人間ができることとして、自然の力が発揮できるように少しだけ手を施すこと。
日ごろ、ずーやんや皆さんが行っている森の再生作業を体験させていただきました。

自然の力を再生するために、わたしたちが少しだけ手を施す作業

その過程で枯れ葉を使ったのですが、これも葉っぱの種類が多いほど菌が生まれやすくて良いのだとか。「多様であることの豊かさ」をここでも感じざるを得ません。

最後に、「タケさん」こと赤塚 丈彦さんが手がける自然農の畑を見学します。

一見、整備されていないように見える畑には、自然の力が生きていました

農薬や化学肥料を使わず、多品種を植えることで土中の微生物が活性化し、植物同士が共生する環境を作る。病害虫の被害にあいにくく、生育環境に適応した強い植物になっていく。季節が変わり、その畑で枯れていった多品種の植物から土を作ることで、さらに環境にあった土壌になっていく。
たわわに実った作物を猿が狙いに来るそうで、畑はネットで囲まれていました。

あなたの組織は「生きて」いますか?

自然は互いに共生し、絶妙なバランスでその環境を作っている。循環しながら森も成長し進化して「生きて」いく。
翻って、わたしたち人間の社会はどうなっているでしょうか? 人はつながりあい助けあいながら好循環を生んでいるでしょうか? 組織としてバランスを欠いてはいないでしょうか?

組織開発とかSDGsとかダイバーシティ&インクルージョンとかの文脈で「多様性」「つながり」「共生」「循環」という言葉があふれていますが、パソコンに向かって頭で考えているよりはるかに身に迫る勢いで、その意味を体感した1日でした。


当日の様子を、森と踊る株式会社さんもnoteに書いてくださっています。

この記事が参加している募集

多様性を考える

みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!