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セキュアベース(安全基地)

※過去のコラムの転載です。

友人に勧められて「LISTEN」という本を読んでいます。
サブタイトルは「知性豊かで創造力がある人になれる」、帯には「話してばかりの人はもったいない『聞くこと』は最高の知性」などと書かれています。

キャリアカウンセラーとして「聞くこと」は一番大事な基本ですので手に取ったわけですが、厚さ約3.5センチの本を開くと見出しだけでもボリューミー!もうこれを読むだけでも読了したような気分になります。(安心してください厚さの割には文字数はそう多くはなく、とても読みやすいです)

見出しの項目一つ一つが心に刺さります。その中に「自分の話に耳を傾ける人がいると、外の世界に安心して出ていける」というものがあり、本文冒頭に「研究によると、安定した愛着を持っている人は、そうでない人と比べ、新しい情報に対し、好奇心旺盛かつオープンな傾向にあると示されている」ということが書かれています。

この本によれば、

「自分の話に耳を傾け、親近感を抱く誰かが人生にいると、外の世界へ出て行って他の人と安心して交流できる」

この耳を傾けてくれる信頼できる人(居場所)が「セキュアベース(安全基地)」と呼ばれ、孤独に対する防御手段になるということです。

また、別の見出しにはこういうものもあります。

「半分以上の人は、『心配事を仲のいい人には話さない』」

つまり、もっとも差し迫った心配事は、配偶者や家族、親友などには話さず、関係性の薄い人に話すということです。理由としては、近い人から決めつけられたり、感情的ないざこざを引き起こすことを避けるということのようです。

ということは、つまり、日常的に濃く関わっている近すぎる人(家族や友人、同じ部署の上司や同僚など)より、馴染みはあるけれど、そこまで関係が濃い人じゃない方が話しやすいこともあるということ。その役割を労働組合が担える可能性が大いにあるということではないでしょうか。

組合員の中には、このコロナ禍で孤独になっている人、挑戦ができなくなっている人がいるかもしれません。コロナで鬱々とした現在、職場のもやもや、家庭のもやもや、色んなもやもやを抱えている人が少なからず居るのではないでしょうか。労働組合がそんな組合員の声を聞き、組合員の「セキュアベース(安全基地)」としての役割を持てたら素敵だなと思います。

※LISTEN-知性豊かで創造力がある人になれるー / ケイト・マーフィ (著), 篠田 真貴子(監訳) (その他), 松丸 さとみ (翻訳)
読み方として、始めから順に読んでいくのもいいのですが、見出しを見て興味を持ったところから読んでいくという方法もおススメです。