キャリア相談後アンケートより(2)
前回は初めてキャリア相談を受けられた方がどんな感想を持たれているのか、アンケート(記述設問)より抜粋してご紹介しました。
今回は選択設問の感想についてご紹介します。
感想の選択肢
弊社が提供しているオンラインキャリア面談サービス<ネウボラ>では、キャリア相談後のアンケートを実施していますが、その中の設問で「今回のキャリア相談をご自身の中でどのように感じましたか?以下当てはまるものを選択してください。(複数回答可)」というものがあります。選択肢は下記のようになります。
ポジティブな感想を選択する背景
ポジティブな感想の中でも一番多く選択されるのは「自分のことを理解してもらってうれしかった」です。キャリアコンサルタントは相談者のお話を傾聴するのは基本中の基本ですから、この感想は当たり前と言えば当たり前と言えます。
「自分がやっていたことが分かってもらえてよかった」「自分の今の苦労を話せて少し気持ちが明るくなれた」という感想には、孤軍奮闘されている相談者、頑張っているのになかなか認めてもらえないと感じている相談者の姿が見えるようです。
「自分を素直に出せた」という感想については、安心安全が担保されていないギスギスした職場だったり、なんとなくドライな職場の雰囲気、あるいは相談者自身がコミュニケーションを苦手としているということが考えられます。
「元気が出てもっと頑張っていける気がした」は、キャリアコンサルタントに話を聴いてもらうことにより、他人に承認してもらったという実感を得たことで、相談者自身が自分を認めることにより、前に進む力が湧いてきたのではないでしょうか。
では、他の選択肢についてはどうなのでしょう。
ネガティブな感想を選択する背景
「アドバイスはしてほしくないなと感じた/もっとアドバイスをしてほしかった」という感想も時折いただきます。
キャリア相談におけるアドバイスというのは、キャリアを描くための行動の促しのための情報提供(提案)ということになるかと思います。「~した方がいいですよ」というよりは「〇〇という方法もありますよ」という感じですね。それを実行するのは相談者自身に委ねます。
「アドバイスはしてほしくないなと感じた」感想の背景は相談者本人にしか分かりませんが、キャリアコンサルタントの側が「~した方がいいですよ」的な提案になっていたのかもしれません。
逆に「もっとアドバイスをしてほしかった」というのは、キャリア相談への期待が大きかったために物足りなさを感じられたのかもしれません。
「もっと話したかった」ということにつきましては、時間が50分と限られていますので、致し方ないというところもあります。そういった意味では、継続的なキャリア相談が理想ではあります。また、キャリアコンサルタント側からしますと、キャリア相談の中では、できるだけたくさん相談者の方にお話をしていただくことを心掛けていますが、「自分が喋り過ぎていないか」「相談者の話はちゃんと聴けているのか」をふり返る必要があると考えています。
「もう少し認めてほしかった」の回答につきましては、現在のところ頂いておりませんが、もし、今後あるとしたら、それは、キャリアコンサルタント側の受容が足りないということであり、相談者とのラポール(信頼関係)が築けていなかったということですから、大いに反省しなければならないと考えております。
「スッキリした面もあるが解決にはならないと感じた」の背景
キャリアコンサルタントとしては、この回答が一番気になるところです。
この回答に関して、満足度が「やや満足」「どちらともいえない」と感じられた相談者の背景には、キャリアカウンセリングに対する認識の誤解やキャリア形成に対して受け身な姿勢に陥っていることが考えられます。つまり、キャリアコンサルタントが答えや問題解決方法を教えてくれるものと思われているのかもしれません。
一方、同じ回答でもキャリア相談の満足度が高い方は、「キャリア相談とは言語化することで気づきを得られるもの」ということが腹落ちされたからではないかと思われます。キャリア形成は主体性を持って自分自身で行うものであり、キャリア相談は気づきを促す場に過ぎないということに気づかれたのではないでしょうか。
キャリアコンサルタントは、問題の解決をしてくれるわけではありません。真の問題はなんなのか一緒に整理していき、相談者が問題点に気づき、解決方法を相談者自身が選択できるように支援することが役割です。時には、解決の糸口になるようなことを提案することもありますが、あくまでも選択し決定するのは相談者自身となります。
キャリアコンサルタント側としましては、相談者に寄り添い、気づきを促すような問い立てができること、また、相談者が問題解決に向けて一歩を踏み出す支援ができるように日々研鑽しております。